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maho、マホビーチへ行く。地球の裏側で迎えた人生の転換点

by maho

きっかけはテレビだっただろうか。
世界のおもしろビーチ、みたいな形で紹介されていて、マホビーチという場所があることを知った。

私と同じ名前。しかも、「世界一危険なビーチ」だとか「絶景が見られる」などと聞いたら、俄然興味がわいてきた。

極めつけは、私の愛してやまないディズニークルーズで、そのビーチの島に行く航路があると知ったこと。
「いつか絶対に行きたい」と思うようになった。

ただし日本から行くには10日以上の休みが必要だった。

2013年。その頃私は仕事を辞め、2年ほどの年月をかけて資格試験に挑戦していた。
最後の試験を終えて合格発表を待つ間、このビーチのことを思い出していた。
合格したらまた仕事を探すだろう。遠い場所に行くなら今しかない。
そうして、思い切ってクルーズでの一人旅をすることを決めた。

クルーズ旅行の前半はずっと体調を崩していた。
一人旅には慣れていたけれどやっぱり少し寂しかったし、もし試験に落ちていたら…とか、一人でいると不安な気持ちがぐるぐると渦巻いて、楽しいはずの旅行も、どこか気持ちが落ち着かなかった。

船がセントマーティン島に到着した。
カリブ海の中でも珍しく、ひとつの島をオランダ領とフランス領が分け合っている。
島を降りたら、ミニバスと呼ばれている小さなワンボックスカーでフランス領の首都マリゴに向かう。小高い丘の上にかつて戦争で使われた砦があり、見晴らしが良いとのことだった。

ひととおり写真を撮って散策したら、次はビーチを目指して再びバスを探す。
クルーズ客が多いとはいえ、このエリアはあまり観光客もいない。クレオール系フランス人と思われる女性に道を聞いたら、「あなた、一人で来たの?女の子がこんな所を一人で歩いていたら危ないわよ!」と言われて、少し驚いたことを覚えている。

無事にバスを見つけ、マホビーチに到着した。
ここはビーチの隣に国際空港があって、砂浜にいると頭上すれすれを飛行機が着陸することで有名になったビーチだ。
飛行機の離着陸には大きなトラブルは無いが、空港のフェンスにしがみ付く観光客がジェット噴射に飛ばされて死亡するという事故はあり、そういった事から「危険なビーチ」の名前が付いたのだろう。(DANGERの看板があり、禁止されている。)

ビーチ横にあるバーに席を取り、飛行機の離着陸の時刻を確認しながら携帯を取り出す。
試験の合格発表はちょうどこの日だった。
バーでパスワードをもらった、ちょっと不安定なwifiを頼りに、合格発表のページを開く。

合格していた。

なんだか信じられない気分だった。
普段ほとんど飲めないお酒を飲んで酔っているのか、ビーチの暑さのせいなのか、ふわふわしていた。
目の前には現実とは思えないような光景。夢をみているようだった。

しばらくして、じわじわと喜びが込み上げてきた。
一つのものごとを成し遂げた達成感と、新しい世界の扉が開かれたような気持ち。

それからビーチに飛び出し、夢中でシャッターを切った。
大型機、小型のプロペラ機、空を飛ぶ鳥まで飛行機と一緒に空を舞っている姿。
ただ必死で空を見つめては、舞い上がる砂埃に悲鳴を上げながら、写真を撮り、乾いた熱風を体に浴びていた。

いま、この場所で、この気持ちは一度きりしか感じられないのだと思いながら。



maho
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