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小さい頃は、神様がいて。

by maho

子どもの頃からジブリ映画「魔女の宅急便」が大好きだった。
黒いワンピースに真っ赤なリボンの、魔女の見習い。ほうきで空を飛べるなんてワクワクしたし、黒猫と喋れるキキはいいなあ、と幼心に思った。
それに、13歳で自立した魔女になるために親元を離れて違う街で暮らすなんて、ものすごい冒険だ。


おとなになって自由に旅をできるようになってきた頃。どこに行こうか?と考えて、まず浮かんだのがこの映画の風景だった。

そうして、スウェーデンの首都ストックホルムへ向かった。映画のモデルとなった場所は一箇所ではないけれど、その中の一つとして有名な場所がストックホルムにあった。初めてのヨーロッパ一人旅。

海の見える街。
市庁舎の塔をのぼって目の前に広がった景色は、映画の世界そのままだった。
キキもふるさとを離れてはじめて街を目にした時は、こんな気持ちだっただろうか。

ガムラスタンと呼ばれる旧市街を歩いた。
狭い石畳の道、せまいトンネル、建物から道に出ている看板や緑、そのすべてがわくわくさせた。こんな所をほうきで駆け抜けていきそうで。

ニシン料理の屋台は、ニシンのパイのシーンを思い出した。頑張って作って届けたのに、「私このパイ嫌いなのよね」って言われちゃうんだけど。


幼い時は理解できなかったけど、大人になってから好きになったシーンがあった。
キキが飛べなくなってスランプに陥った時、画家ウルスラの家に行って交わした言葉たち。
頑張ってもうまくいかない時は誰にでもあって、そんな時にどうすればいいのかが、その場面に集約されているような気がした。

思い通りにならない時、行き詰まった時、そのシーンを観ると背中を押してもらえる。

映画と同じように、旅の記憶もそう。
心震わせてくれた景色は、なにかを頑張る原動力になっている。

いつか迷ったりこころが疲れた時はこの景色を思い出そうと、自分に言い聞かせた。




maho
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